意外に知らない ビタミンの話

(5)現代人の疲労が重くなる

 ロシアの作家、イワン・ツルゲーネフ(1818〜83年)のこんな言葉がある。

 「疲れた人は、しばし路傍の草に腰をおろして、道行く人を眺めるがよい。人は決してそう遠くへは行くまい」

 多くの人は休息を取れば、疲労や悩みから回復する。しかし、そんな古き良き時代は遠ざかりつつあるのでしょうか。

 平成16年に文部科学省疲労研究班が大阪府で行った疫学調査(約2700人)では、疲労を感じている人は約6割で、10〜20年前に比べてほとんど増えていなかった。しかし、その疲労の質に違いがあった。そのうち、「6カ月以上疲労が継続する」と慢性疲労を訴える人が39%にも上っていた。「休めば治る」という一過性の疲れは少なくなり、疲労の症状は重くなっていたのだ。

 当時の研究班のリーダーだった理化学研究所の渡辺恭良(やすよし)・分子イメージング科学研究センター長によると、疲れの原因は、運動による消耗、人間関係の精神的なストレス、気候など環境とさまざまな要因が複雑に絡み合っている。疲れてくると刺激に対する反応が鈍くなり、思考力が落ちて注意力が散漫になり、行動量が低下する。作業量や効率が6〜7割に下がったときが要注意で、この状態を測定することにより、疲労の程度を定量的に測定する方法が開発されている。

 このような疲労の回復にはエネルギーの補給が重要で、欠かせないと言われている。

 回復にはまた、傷んだ細胞の部品を修復する必要性も高い。そこで登場するのが、ビタミンB1をはじめとするB群、C、E。これらのビタミンの絶妙な作用を次回に紹介する。

(取材協力・武田薬品工業)

▲(4)疲労はB1不足にあり▼(6)脳の疲れの回復も

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